格差是正を目的とする就業規則や賃金規程の変更は可能?【パートタイム・有期雇用労働法の施行をめぐって】
令和2(2020)4月1日、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)が施行されました。
同法により、短時間労働者や有期雇用労働者を雇用する事業者は、正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などの待遇について不合理な差を設けることが禁止され、また、働き方のちがいについても、均等な待遇の確保を図るための措置を講じなければならなくなりました。
また、事業者は、短時間労働者や有期雇用労働者から求められた場合には、正社員との間の待遇の相違や理由について説明をすることも義務付けられました。
正社員との待遇差に関する説明は、「パートだから」や「将来の役割期待が異なるから」といった曖昧で主観的なものであってはならず、合理的で適切なものである必要があります。
このような事情を背景として、非正規社員を雇用する多くの企業では各種手当の見直しが図られ、実際就業規則や賃金規程の変更が行われました。
さて、同法に対する対応を契機として手当等の見直しを行った医療法人が、正社員らから訴えられた事件がありました。
社会福祉法人恩賜財団済生会事件・山口地裁令和5.5.24判決
事案の概要
本件は、B法人で勤務していたAさんらが、B法人の就業規則や給与規程の変更によって、支給される手当の額が減額してしまったことから、就業規則や給与規程の変更は無効であるなどと主張して、変更前の給与規定に従って算出された手当額と既に支給された手当額との差額の支払いなどを求めた事案です。
事実の経過
AさんらとB法人の関係
B法人は、医療機関等を経営して生活保護法患者の診療および生計困難者のための無料または低額診療等を行うことなどを目的として設立された社会福祉法人であり、当該医療機関の1つとして、支部である山口県済生会B病院(本件病院)が設置されていました。
Aさんらは、本件病院で正職員の作業療法士、臨床検査技師などとして勤務しており、いずれも済生会B労働組合(本件組合)の組合員でした。
給与規程の変更
元来、本件病院の正規職員の旧給与規程では、扶養手当および住宅手当が定められていましたが、非正規職員の諸手当としては、扶養手当および住宅手当は定められていませんでした。
しかし、本件病院は、令和2年10月1日付で、給与規程を変更し、正規職員の新給与規程では、子ども手当、保育手当、病児保育手当および住宅補助手当が定められることになりました(本件変更)。
また、本件変更により、非正規職員の諸手当についても、正規職員らと同趣旨の子ども手当等および住宅補助手当が新設されることになりました。
本件変更の経緯
本件病院が本件変更を行った背景には、次のような事情がありました。
すなわち、令和2年4月1日施行の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)の改正に伴い、正規職員と非正規職員との間の不合理な待遇差が禁止され、具体的な説明が困難な格差については是正する必要が生じていました。
もっとも、本件病院では、令和元年11月当時、旧規程にかかる手当支給の趣旨や目的が不明確であり、その趣旨を明確にして時代のニーズを勘案した納得性の高い変更をする必要がありました。
他方で、本件病院の経営状況は黒字ではあるものの、新病院建設予定で右肩下がりであり、費用総額に占める人件費率は右肩上がりであったことから、給与規程の変更により人件費総額を超えないようにする必要もありました。
そこで、本件病院では、不要手当を廃止して子ども手当および保育手当を新設し、住宅手当を廃止して賃貸物件にかかる住宅補助手当を新設する方針を決定しました。
説明会の実施
本件病院は、令和元年12月から翌年1月にかけて職員説明会を実施し、旧給与規程の見直しの具体的方向性の要旨について説明しました。
本件組合による反対
これに対して、本件組合は、令和2年3月、本件病院の院長に対し、旧給与規程からの手当支給額引き下げに対する反対意思を表明しました。
本件病院は、同年4月1日に旧給与規程の変更を実施する予定でしたが、本件組合との団体交渉等が継続したため、新給与規程の実施を延期し、見直しを続けました。
そして、本件病院は、同年6月、本件組合に対して、再検討した改定案を団体交渉で説明し、同年7月、8月にも交渉を行いましたが、方針については折り合いがつきませんでした。
激変緩和措置の実施
本件病院の院長は、本件組合に対して、本件変更について本件組合の同意を得られなければ、労働契約法10条に基づいて変更せざるを得ないと回答したうえで、令和2年9月、同年10月1日施行の本件変更の概要及び3000円を超える減額部分にかかる1年間から2年間の激変緩和措置の実施について周知し、職員説明会も実施しました。
そして、本件病院は、令和2年9月24日、過半数代表者との間で、本件変更を同年10月1日に施行すること、および激変緩和措置をとることの同意を得て、同日、本件病院の給与規程を改定し、新給与規程へと変更しました。
しかし、本件組合は、本件病院の院長に対し、本件変更について承服していない旨を申し入れました。
訴えの提起
その後、Aさんらは、B法人に対して
≪主位的請求≫就業規則等の変更はもっぱら人件費削減を目的とするものであることを秘してされたため合理性がない
≪予備的請求≫就業規則等の変更は労働契約法10条所定の諸事情に照らして合理性を有するとはいえず、同条により有効であるとはいえないから、この変更は同法9条本文により無効である
と主張して、変更前の給与規程に従って算出された手当額と既に支給された額との各差額等の支払いを求める訴えを提起しました。
労働契約法
第9条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。第10条
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
争点
本件では、①本件変更が人件費削減を目的としたものであったか否か、②本件変更に合理性があるか否かが争点となりました。
本判決の要旨
争点① 本件変更が人件費削減を目的としたものであったか否かについて
本件変更の目的
本件病院における本件変更に至る検討経過、すなわち、本件病院がパートタイム・有期雇用労働法の改正への対応を契機として行った本件旧規定の見直しの結果、手当の支給に関して、納得性のある目的を明確にする必要があるとした上、当初からその旨説明をし、その必要性を踏まえた改定案を示すなどしてきたという経過を踏まえれば、本件変更は、手当の支給目的を納得性のある形で明確化することを目的として行われたものと認められる。
Aさんらの主張に対して
これに対し、Aさんらは、本件変更が専ら人件費削減目的であったのにそれを秘してされたものである旨主張する。
確かに、証拠によれば、本件病院の収支は黒字の状態が続いているものの、人件費総額が増加傾向にあり、新病院の建築時に予想される診療(医療事業)収入の減少等を踏まえ、人件費比率が更に増加しないようにすべきであるとされ、本件旧規定の変更に当たり、人件費総額が増加しないよう手当の具体的な内容を検討しているとおり、本件病院には人件費の増加を抑制する意図があったことが認められる。しかし、人件費増加の抑制と削減とは異なるものである上、非正規職員に係る手当の新設と人件費総額の増加抑制(人件費総額の維持)を両立させて実現するための手段の一環として、正規職員に係る人件費が非正規職員に係る新設手当の原資にも充てられたにすぎないというべきであるから、本件変更が専ら人件費削減を目的としてされたとは認められない。
また、本件変更直前のシミュレーション結果によれば、月額約20万円の支給額の減少が既に予測されていたものの、その減少の主たる原因は、持ち家に係る住宅手当相当額(月額約31万円)が本件新規定の支給目的に沿わないとして、組換後の手当の原資とされなかったからにすぎず、本件旧規定における手当が削減されたような形と捉え得る点をもって、本件変更が専ら人件費削減を目的としてされたということもできない。
よって、Aさんらの上記主張は採用できない。
小括
そうすると、本件変更が専ら人件費削減を目的としてされたとは認められないから、本件変更の目的のみを理由に本件変更の合理性を否定することはできず、Aさんらの主位的主張には理由がない。
給与規程の変更は「専ら人件費削減を目的としてされた」とは認められませんね
争点② 労働契約法10条所定の諸事情に照らした本件変更の合理性について
合理性の有無を判断するための判断枠組み
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、就業規則の変更が合理的なものであるかどうかは、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして判断されるべきことになる(労働契約法10条)。
そして、賃金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の変更については、当該条項がそのような不利益を労働者に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容でなければならない(最高裁判所昭和60年(オ)第104号同63年2月16日第三小法廷判決・民集42巻2号60頁参照・大曲市農協事件)。
なお、高度の必要性に基づいた合理的な内容かどうかは、諸般の事情を総合的に考慮して判断されなければならず、就業規則の変更を行わないと使用者の事業が存続することができないというような極めて高度の必要性が常に求められるということができないのはもとより、その必要性が財政上の理由のみに限られるということもできない。
本件変更により労働者に生じる不利益の程度
本件変更は、本件旧規定による支給を受けていた正規職員にとって利益に変更されたものも不利益に変更されたものも含まれるところ、本件病院の総賃金原資(人件費総額)に占める本件変更による減額率は、約0.2%であり、本件病院の職員全体にとっての不利益の程度としては小さいといえる。
また、本件変更により手当が減少した正規職員は196名で、減少額は月額94円から2万8000円、その平均額は約8965円(≒175万7112円÷196)であり、本件変更の不合理性を主張する各Aさんにおける減額分は、(…)Aさんらの月額賃金あるいは年収の減額率は高くても数%程度である(5%を下回る)と認められる。
扶養手当や住宅手当も賃金の一部であるが、上記の総賃金原資に占める手当減額率や月額賃金に占める手当減額率は大きいものとはいえず、Aさんらにとって本件変更による不利益の程度が大きいとはいえない。
本件変更の必要性及び本件新規定の内容自体の相当性
本件変更の必要性
まず、令和2年4月1日施行のパートタイム・有期雇用労働法8条は、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」と定めており、同条の改正を契機として、扶養手当及び住宅手当を正規職員のみに支給し続けることが不合理な相違に該当しないか否かを検討することは、法の趣旨に沿ったものであるといえるところ、その検討の前提として、公平・平等な賃金(手当)の支給という観点から、本件旧規定における手当を見直し、手当の支給目的を納得性のある形で明確化することにつき必要性が認められ、さらに、明確化された目的に適合する職員に手当が支給されるように手当に係る規定を変更することについても、必要性があったものと認められる。
また、本件病院は、新病院の建築を控えて経営状況は右肩下がりである一方、費用総額に占める人件費比率は右肩上がりであり、本件病院が非営利法人経営の病院であることや、新病院の建築時に予想される診療(医療事業)収入の減少、医療サービスの提供に伴う費用(材料費等)の高騰傾向等も踏まえると、本件病院の今後の長期的な経営の観点から、本件変更時点での人件費増加抑制に配慮しつつ、持続可能な範囲での手当の組換えを検討する必要性もあったというべきである。
本件変更の相当性
➤扶養手当の廃止と子ども手当等の新設について
本件病院において、扶養手当が従来想定していたのとは異なって、家族像が多様化する中、男性職員にしか支給されていない配偶者手当等を再構築して、子どもを被扶養者とする手当や扶養の有無にかかわらず保育児童について支給される手当を拡充・新設することは、本件病院の職員の多数を占める女性の就労促進という目的に沿うもので、同目的との関連性が認められる上、その内容自体も本件病院の実態に即した相当なものといえる。
また、(…)支給額は、扶養手当(本件旧規定)による支給額を超え、該当する職員1人当たりの手当支給額は減額とならないから、人材確保のための子育て支援として相当性が認められる。
➤住宅手当の廃止と住宅補助手当の新設について
まず、持ち家に対する住宅手当は、(…)本件病院においても、同様に存在意義が薄れているか、その支給目的につき納得性や明確性がないものと理解され、これを廃止する変更を行うことは、手当の支給目的を納得性のある形で明確化するという本件変更の目的に沿うもので、同目的との関連性が認められる上、廃止する合理性・相当性も同様に認められる。
また、賃貸物件に対する住宅手当については、持ち家と異なり職員らが毎月支払うべき家賃に係る補助であると考えられるところ、年功序列制度を採用する本件病院において、若年層の職員らの家賃支払の負担はそれなりに大きいといえるから、当該手当の支給上限額の増額等により若年層の確保を目指すことは、手当の支給目的を納得性のある形で明確化するという本件変更の目的に沿うもので、同目的との関連性が認められる。
その内容自体も、給料の低い時期に支給額が多くなるよう設計され、また、平成26年11月分における医療・福祉関係の企業における平均支給額(1万5727円)も参照して手当の支給下限額が設定されるなど、合理的で相当といえる。
加えて、本件変更後1年から2年間の激変緩和措置が執られたことも、本件変更により不利益を被った職員らの生活への急激な影響を一定程度緩和するものであり、本件変更の相当性を支える一事情である。
小括
以上のとおり、本件変更については、その必要性、本件新規定の内容が設定された目的に沿うという意味での関連性、そして、本件新規定に係る制度設計を選択することの合理性及び相当性がそれぞれ認められる。
賃金規程の変更は、合理性も相当性も認められますね
本件変更に至る交渉状況等
本件病院は、本件組合に対し、本件変更の趣旨や必要性を繰り返し説明し、その理解を求める働きかけを行っていたといえる。
まとめ
以上を総合すれば、本件病院においては、パートタイム・有期雇用労働法の趣旨に従い、非正規職員への手当の拡充を行うに際し、正規職員と非正規職員との間に格差を設けることの合理的説明が可能か否かの検討を迫られる中で、女性の就労促進及び若年層の確保という重要な課題を抱える本件病院の長期的な経営の観点から、(…)本件旧規定と比較して、本件新規定に係る制度設計を選択する合理性・相当性が肯認されるというべきである。
以上によれば、本件変更は合理的なものであると認められる。
結論
よって、Aさんらの請求には理由がないからいずれも棄却すると判断されました。
解説
本件事案のおさらい
本件は、本件病院が、非正規労働者に対する不合理な待遇を禁止するパートタイム・有期雇用労働法の改正に対応するため、給与規程を変更したところ、この変更によって正規労働者の労働条件が不利益に変更されたとして、本件病院に勤務するAさんらが旧給与規程に基づく手当等の支払いを求め、本件病院を運営するB法人を訴えたという事案でした。
Aさんらは、主位的には、給与規程の変更が専ら人件費削減のためであり、本件変更は合理性を有しないものであると主張していましたが、裁判所は、旧給与規程では手当支給の趣旨や目的が不明確であり、本件変更は納得性のある形で明確化することを目的に行われたもので、専ら人件費削減を目的としたものとは認められないとしてAさんらの主張を排斥しました。
また、Aさんらは、予備的には、本件変更が労働契約法10条に照らして合理性を有しないため、同法9条により無効であると主張していましたが、裁判所は、諸般の事情に照らして、本件変更は必要性及び相当性が認められるため、合理性を有するとしてAさんらの主張を排斥しました。
これにより、Aさんらの請求はいずれも認められず、B法人の本件変更の合理性が認められました。
ポイント
裁判所は、本件変更の合理性の有無を判断するに当たり、就業規則変更による労働条件の不利益変更は、不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた内容でなければならず、かかる必要性に基づいた合理的な内容か否かは、諸般の事情を総合的に考慮して判断しなければならないという判断枠組みを示しました。
その上で、裁判所は、本件変更によるAさんらに対する不利益の程度が大きいとはいえないこと、法改正に伴い格差是正の検討を迫られるなかで、女性の就労促進および若年層の確保という本件病院の長期的な経営の観点から、人件費の増加抑制にも配慮しつつ手当の組み換えを検討する必要性があったこと、各手当の廃止と新設について相当性も認められることなどを指摘し、本件変更には合理性が認められると判断しています。
すなわち、労働条件の不利益変更を伴う就業規則の変更については、労働者に与える不利益の程度や変更の必要性および相当性について慎重に検討する必要があるということです。
また、裁判所は、本件変更の相当性を支える一事情として、本件病院が1~2年間の激変緩和措置をとっていたことも指摘しており、この点は就業規則の変更を導入するにあたり参考になるといえます。
顧問弁護士にご相談を
すでに述べたとおり、就業規則の不利益変更は、労働者に与える影響も大きいことから、そのような不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性が求められます。
本件病院は、法改正に対応することをきかっけとはしているものの、実際に限りのある人件費のリソースを男女や正規非正規などの別に関係なく効果的に配分するという視点から、給与規程を変更し、一部手当の廃止と新しい手当の新設を行っており、裁判所もこのような点を踏まえて、本件変更の合理性を認められたものと考えられます。
これまでの裁判例の中では、法改正を契機としたものであっても、労働者に対する不利益が大きく、代償措置もないうえ、説明も不十分であったとして合理性が否定された事案もあります。本サイトで扱った同一労働同一賃金に関する事案について参考にしてみてください。
したがって、法改正に対応するという観点から就業規則を変更する場合であっても、会社として十分に必要性を説明できるものであるのか否か、変更の内容として相当性を有するものであるか否か、激変緩和措置などの代償措置は検討しなくてよいのか否か、従業員や組合等に対して適切な説明を行っているか否かなどさまざまな点を検討する必要があり、これらの視点を持たないまま変更を敢行してしまった場合には、合理性を欠き無効であるとされてしまうおそれがあることには注意が必要です。
賃金規程等の変更は慎重な対応が必要です。必要性と相当性があるのか、きちんと従業員等に説明したか、激変緩和措置を講じる必要があるか、など検討する必要があります。
就業規則等を変更する際には、変更後の円滑な運用も見据えて、顧問弁護士に相談しながら慎重にすすめていくことがよいでしょう。