イトウの経営Column

事業ドメインを設定しよう

代表弁護士兼中小企業診断士(登録予定)のイトウです。定期的に経営に役立つ情報をあげています。バックナンバーはこちら。

今回は、自社の分析を行った結果、どうやってビジネスを展開していくか、つまり「事業ドメイン」の設定について解説していきます。

事業ドメインとは

事業ドメインとは、企業が展開する事業活動の範囲や領域を指します。具体的には、どのような製品やサービスを提供し、どの市場で活動し、どの顧客層をターゲットにするかなど、企業のビジネスの中心となる活動を定義するものです。事業ドメインを明確にすることで、企業は自身の強みや競争優位を確立しやすくなります。特に中小企業においては、経営資源(ヒト、モノ、カネ)が限られますので、適切な事業ドメインを設定して、そこに経営資源を集中投資することが必要になってきます。

なお、複数事業を持っている企業の場合、各事業ドメインの上位概念として「企業ドメイン」を設定することもあります。

事業ドメインの要素

事業ドメインを構成する主な要素は以下の通りです:

誰に

企業がターゲットとする顧客層を設定します。「誰に」サービスを展開するのかが明確であれば、その後の戦略も明確になります。

顧客の属性、地域、嗜好(指向)など、具体的に設定することでより精度が高まります。

何を

その顧客が「何を」求めているのかを探る必要があります。ターゲット顧客が求めるもの(顧客ニーズ)を的確に把握し、商品・サービスを設定することが必要です。

どうやって

その顧客ニーズにどのように応えていくかが重要になります。自社の強み、技術やノウハウで他社と差別化を図ります。

具体的なイメージ

イメージしやすいように、具体例を用いて説明してみます。あくまでイメージをつかむための説明ですので、実際の企業戦略とは異なる可能性があります。

自動車の事業ドメイン設定

誰に(標的顧客)

環境意識の高い顧客層、都市部の通勤者、中産階級のファミリー層をターゲットに設定

何を

ハイブリッド車や電動車、燃料電池車の開発と販売に注力

どうやって

強みであるハイブリッド技術や製造の効率性を活かす。

グローバルな自動車市場の動向を分析し、環境規制の強化や電動化のトレンドを把握。

自社ディーラー網の強化、オンライン販売プラットフォームの拡充。

まとめ

事業ドメインは企業の戦略的な活動領域を定義する重要な概念です。これを明確にすることで、企業は自らの強みを活かし、競争優位を築いていくことになります。市場調査、自社評価、顧客セグメントの選定、製品・サービスの定義、市場・地域の選定、チャネル戦略の策定といったプロセスを通じて、効果的な事業ドメインを設定して、自社の事業を伸ばしていきましょう。