自社の強みを分析してみよう(VRIO分析)#003
- イトウの経営Column
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代表弁護士兼中小企業診断士(登録予定)のイトウです。定期的に経営に役立つ情報をあげています。バックナンバーはこちら。
経営戦略を考えるに当たって、自社の強みの分析は必須です。職人気質の社長ほど、「こんなの当たり前でしょ。どこでもやってるでしょ」などと考えて、自社が客観的に持っている強みを把握していないものです。
今回は、自社の持つ経営リソース(資源)が強みになるかどうかを診断する方法を紹介します。
VRIO分析とは
VRIO分析は、企業が持つリソースと能力を評価し、それが競争優位につながるかどうかを判断するためのフレームワークです。VRIOは、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織化)の頭文字を取ったものです。
Value(価値)
価値は、企業のリソースや能力が顧客にとって価値があるかどうかを問います。価値があるリソースや能力は、企業が顧客のニーズを満たすため、または競争相手と差別化するために使用できます。
Rarity(希少性)
希少性は、リソースや能力が競争相手にとっても手に入れることが難しいかどうかを問います。希少性が高いほど、競争優位を維持する可能性が高くなります。
Imitability(模倣困難性)
模倣困難性は、競争相手が企業のリソースや能力を模倣することが容易かどうかを問います。模倣が難しいほど、競争優位を維持する可能性が高くなります。
Organization(組織化)
組織化は、企業がリソースや能力を効果的に活用できるように、適切なプロセスやシステムを持っているかどうかを問います。組織化が適切であれば、競争優位を維持し、価値を創出する可能性が高くなります。
検討の仕方
それぞれの要素は、次のとおり、Vから順番に検討します。V(価値)がなければ、他の要素があってもそもそもそれは強みではありません。
例えば、同業他社が当然に持っている知識やノウハウをもっていることは、V(価値)はあるものの、R(希少性)がNoとなります。それだけでは、「競争の土俵に立てる」という必要条件に過ぎません。
また、自社だけが思いついた価値のある画期的なアイデアであれば、R(希少性)はあるものの、他社にすぐにマネされてしまうようなものであれば、I(模倣困難性)が否定されます。そうすると一時的な競争優位に過ぎません。
さらに、特定の人にしかできない希少な職人技術の場合、V(価値)、R(希少性)、I(模倣困難性)はあるものの、O(組織化)ができていないことになります。ただ、そうであっても持続的な競争優位に立つことはできます。
もっとも活用していくべき経営資源は、希少な価値があり、模倣困難性で、かつ組織化できている(属人的になっていない)リソースです。自社の資源をここまで高めていければ非常に強力です。
VRIO分析の利点と制限
VRIO分析の主な利点は、企業が自身の競争優位を理解し、強化するのに役立つことです。また、VRIO分析は企業が新たな機会を見つけ、リソースと能力を最大限に活用するのにも役立ちます。
一方、VRIO分析にはいくつかの制限があります。まず、VRIO分析は静的なツールであり、市場環境や競争状況の変化を反映するのが難しいです。また、VRIO分析は内部的な視点からのみ企業を評価するため、外部環境の影響を見落とす可能性があります。
まとめ
「当たり前」とおもっている自社のノウハウや技術は、実は競争優位の源泉かもしれません。自社内部で検討していてもその価値には気づきにくいものです。他者と話をしながら自社の価値を見直してみるのもいいかもしれませんね。