会社の運営

コンプライアンス遵守の重要性

「コンプライアンス」の正しい意味をご存じでしょうか。

コンプライアンスの違反は、時に企業が破綻する事態を引き起こしかねないほど重大なものであり、企業の経営を存続させていく上で、コンプライス違反のリスクを把握しておくことは不可欠です。

「コンプライアンス」とは?

コンプライアンス(=compliance)を直訳すると、従うこと・命令に応じることであり、法令遵守を意味するものと捉えることができますが、昨今コンプライアンス違反として考えられているのは、情報漏洩やデータの改ざん、性差別など、必ずしも法令の有無を問いません。そのため、現代で求められるコンプライアンスは、法令の遵守だけでなく、社会的規範や倫理的規範の遵守を広く含み、それが現代における企業の責任として求められています。

コンプライアンス違反のリスク

ハラスメント行為などの労働問題をはじめ、各種の法令に違反した場合には、それぞれの法令に従った民事・刑事・行政上のペナルティが生じることは言うまでもありませんが、情報漏洩などの社会的・倫理的規範に違反した場合にも、顧客や社会からの信用を失うことによる事実上の制裁を受けることになります。一度失墜した信用は回復することが極めて困難であり、企業の存続が脅かされるほど重大な事態を引き起こしかねません。

関連事案のご紹介

はれのひ事件(平成30年12月19日横浜地方裁判所判決)

これは、新成人向けの振袖の販売やレンタル、着付け後の写真撮影等を主な業務内容とする会社の代表者が、会社が債務超過状態にあり、営業損失でもあったのに、資産超過であり営業利益も出ている旨の内容虚偽の決算報告書を利用するなどして、銀行から数千万円の融資を受けたことにつき、会社代表者に対して懲役2年6月の実刑判決が下された事案です。

これにより会社は経営的に立ち行かなくなり結果的に破綻することとなってしまいました。粉飾決算の法的リスクが重大であることはもとより、取引先や顧客などの外部の信用を失う効果が特に重大です。仮に、粉飾決算の内容が軽微なものであったり、その原因が単なるミスによるものであったとしても、粉飾決算があった事実は端的に企業の印象を失墜させるものであり、企業が失うことになる外部の信用は重大であるといえます。

ベネッセ事件(令和3年5月27日東京高等裁判所判決)

これは、通信教育事業を営む会社が顧客から個人情報の管理を委ねられていたところ、外部からの不正アクセスを受けて顧客の個人情報が漏洩したことにつき、会社の管理体制が不十分であるとして、顧客への損害賠償が命じられた事案です。

これにより会社が多大な損失を被ったことはもとより、その後も顧客の間では情報の管理が不十分であるとの印象が残り続け、経営上危機的な状態に陥ってしまいました。情報漏洩それ自体から会社が破綻するほどの損失を被ることがなくとも、外部的な信用を失うことで、経営的な危機を迫られる事態にまで発展することがあります。一度失った信用を回復することは容易ではありません。

コンプライアンス違反への対応策

コンプライアンス宣言の策定

  まずは企業の活動方針等において、法令規範・社会的規範・倫理的規範等を遵守するというコンプライアンス宣言を明確に策定しておくことが考えられます。これにより社内におけるコンプライアンス意識を高める効果が期待できます。

コンプライアンス部門の設置

  次に社内において、社員の相談窓口や調査部門を設置することを検討するべきです。これにより、コンプライアンス違反を未然に回避する可能性を高めるだけでなく、仮にコンプライアンス違反があったとしても早期にその事実を調査し、有効な対策を講じることが期待できます。

コンプライアンス教育の実施

  そして、以上の対応を社内で周知するよう定期的にコンプライアンス教育を行うべきです。このようなコンプライアンス違反への対応策は、容易なものではなく、専門的な知見が必要となりますので、弁護士等の専門家に助言を求めながら行うことが有用であると思われます。

まずはご相談ください。

  「コンプライアンス」の考え方は時代とともに変化しており、現代社会において何がコンプライアンスに違反しているかは必ずしも明確ではありません。そして、コンプライアンス違反への対応は極めて困難である一方で、その違反は時として企業の存続に影響を及ぼすほど重大なリスクになり得ます。そのため、コンプライアンスに詳しい当事務所の弁護士にご相談いただくことで、コンプライアンス違反によるリスクを未然に回避し、あるいは事後的に軽減する方法をご提案することができます。コンプライアンス違反の危険を感じましたら、まずは当事務所までご相談ください。