民事再生
会社が債務の返済に窮したとしても、債務の一部分をカットしてもらえればその後も経営が続けられるという場合に検討することになる法的手続きとして民事再生があります。債務の返済に窮したとしても、会社自体を廃業せず、手続後も会社の経営を続けられる点が破産手続と異なる点です。
民事再生手続きの流れ
申立て
会社の情報や、債権者、資産等に関する資料を集めて裁判所に対して民事再生手続きを申し立てるところから手続きが始まります。その際、申立てと合わせて保全処分の申立てがされることがあります。保全処分を申し立ててその決定がされると、会社から債権者への弁済が禁止され、同時に債権者も会社の財産に対する財産の仮差押えや仮処分ができなくなります。
監督委員の選任と監督命令
民事再生手続では、破産手続における管財人は選任されないため、会社の財産の管理や処分は手続後においてもそれまでの会社経営者が行うことになります。しかし、実際に会社の財産を管理、処分するには裁判所で選任された監督委員の監督を受けることになります。
民事再生手続開始決定
民事再生の申立後、以下の事由がない限り裁判所から民事再生の手続開始決定がされることになります
- ア 手続費用の予納がないとき
- イ 裁判所に破産手続や特別清算手続が係属し、それらの手続に要る方が債権者一般の利益に適合するとき
- ウ 再生計画案の作成、可決の見込み、認可の見込みがないことが明らかであるとき
- エ 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき
債権届出等の財産の整理
民事再生手続が開始された後、申立会社に対して債権を有する債権者は、債権の届出をすることになります。これを踏まえて会社から裁判所に対して、届出債権の内容や財産状況等に関する報告書を提出します。
再生計画案の作成と決議
その後、会社から現状の債務や財産の状況を踏まえた再生計画案を作成し、債権者集会の場において債権者の決議を受けることになります。この決議は、債権者集会に出席した債権者の過半数、かつ債権総額の2分の1以上の賛成を得ることで可決されることになります。実際には、現状の債務の5分の1程度について数年間で分割して支払うことになります。
民事再生の特徴
民事再生によることのメリットは、手続後も会社が事業を継続できる点です。破産手続によれば、債務の消滅とともに会社も閉鎖することになりますが、民事再生では、債務の大部分を消滅させたうえで、残りの部分についても会社の事業継続に支障のない範囲で分割して支払うことになります。他方で、民事再生によることのデメリットは、債権者の会社に対する信用が失墜する点です。通常であれば債権のすべてを回収できていたところを民事再生手続となることで、債権の大部分について回収することができなくなるため、債権者からの信用を失い、更なる借入れ等が望めなくなります。
まとめ
民事再生手続により会社の再建を図る場合には、再生計画案への債権者の同意が必要となります。そのため、民事再生を進めるうえで最も重要なことは説得力のある再生計画を作成して、これを各債権者に説明することです。当事務所は、これまで民事再生を含めた会社の債務整理を多く扱ってきた実績があるため、民事再生手続きの進め方等について的確にアドバイスすることができます。
民事再生による再建を検討される際は、当事務所までご相談ください。