ビル設備管理業務における変形労働時間制の注意点【大成事件】
- 当社は、ビルのメンテナンス・保守の業務を行っております。お客さまから夜間の呼出があることがあり、24時間体制を取る必要があることから、1か月単位の変形労働時間の採用を考えています。また、仮眠時間はしっかり確保していますので、労働時間から除外すること考えています。注意することはありますか?
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- 1か月単位の変形労働時間の運用にあたっては、就業規則等によって、変形時間における各日、各週の労働時間を具体的に定める必要があります。その場合、各日の労働時間の長さだけでなく、始業及び終業時刻も定めなければなりません。さらに、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各日勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めて置く必要があります。様々なシフトの種類がありうる場合は、全ての組み合わせを就業規則に網羅しなければなりません。
その上で、各日の勤務割は、それに従って変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りることになります。
また、仮眠時間が休憩時間と評価できるかどうかは、労働者が完全に労働から解放されているかどうかが基準となります。仮眠時間中でも呼出があれば対応を要したり、仮眠時間中に代替の職員が対応していない場合などは、休憩時間と評価されないおそれがあります。
- 1か月単位の変形労働時間の運用にあたっては、就業規則等によって、変形時間における各日、各週の労働時間を具体的に定める必要があります。その場合、各日の労働時間の長さだけでなく、始業及び終業時刻も定めなければなりません。さらに、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各日勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めて置く必要があります。様々なシフトの種類がありうる場合は、全ての組み合わせを就業規則に網羅しなければなりません。
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変形労働時間制とは
1か月単位の変形労働時間制とは
1か月単位の変形労働時間制においては、1か月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます(労働基準法32条の2)。
この制度は、月末や月初に忙しく、月中との繁閑の差が顕著な事業に適しています。
1年単位の変形労働時間制とは
1年単位の変形労働時間制においては、1か月を超え1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以下の範囲内において、特定の日又は週に1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができます(労働基準法32条の4)。
この制度は、季節による業務の繁閑の差が大きい事業に適しています。
1週間単位の変形労働時間制(事業場の限定あり)とは
1週間単位の変形労働時間制においては、所定労働時間を1週間あたり40時間以内、1日あたり10時間以内と定め(特例事業も同様)、1週間単位で労働時間や休日を調整できる制度です(労働基準法32条の3)。
この制度は、日ごとの繁閑の差が激しく事前予測が難しい事業に適しています。
ただし、事業場における従業員数が常時30人未満の小売や旅館、料理店、飲食店の各事業においてのみ適用が可能な制度であるため、事業場の限定があります。
どの労働時間制を選んだらよいの?
このように変形労働時間制にはたくさんの種類があるため、一体どれが自社に最適なのか悩んでしまうこともあるかもしれません。
変形労働時間制を含めた適切な労働時間制の選択方法は、厚労省徳島労働局のHPにおいて、次のような図が示されていますので、参考にしてみてください。

【変形労働時間制(厚生労働省徳島労働局HP)参照】
変形労働時間制を導入するには?
変形労働時間制を導入するためには、次のようなステップが必要です。
1か月単位の変形労働時間制の場合 | 労使協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出るか、就業規則またはこれに準ずるものに制度の定めをする。 |
1年単位の変形労働時間制の場合 | 労使協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出る。 |
1週間単位の変形労働時間制の場合 | 労使協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出る。 |
変形労働時間制を定めても割増賃金の支払いは必要
なお、よく誤解されることが多いのですが、変形労働時間制を採用していれば、残業代をまったく支払わなくてよいということではありません。
仮に法定労働時間を超える所定労働時間が定められた期間において、労働者を所定労働時間を超えて働かせた場合などにおいては、会社は依然として労働者に対して残業代を支払う必要がありますので、注意が必要です。
大成事件・東京高裁令和6年4月24日判決
さて、今回は、ビル設備管理業務を行う会社における変形労働時間制の有効性が争われた裁判(大成事件)をご紹介します。

事案の概要
本件は、Y社に雇用されて東京都内のビル内での設備管理業務に従事していたXさんらが、Y社は労働基準法所定の割増賃金を支払っていないと主張して、Y社に対して、労働基準法37条に基づく割増賃金などの支払いを求めた事案です。
事実の経過
XさんらとY社
Y社は、名古屋市内に本店をおき、東京には支店をおく、ビルメンテナンス、設備管理、整備などの業務を行っている会社でした。
Xさんらは、Y社との間で無期雇用契約を締結し、主に東京千代田区に所在するBタワー(本件タワー)において、ビルの設備機器を運転操作し、点検・整備などの保守作業を行う設備員として勤務していました。
設備員は、エンジニアリングスタッフとも呼ばれ、そのうち当直勤務中の者は「当直設備員」として勤務していました。
雇用契約書の定め
XさんらとY社との間の雇入通知書及び雇用契約書には、いずれも変形労働時間制に関する以下のような内容の定めがありました。

また、XさんらとY社との間の雇入通知書及び雇用契約書には、以下のように始業・終業時刻が定められていました。
X1さん (平成23年1月20日付) | ①始業(8時30分)終業(17時30分)休憩(1時間00分) ②始業(8時30分)終業(8時30分)休憩(8時間00分) |
X2さん (平成28年5月1日付) | ①始業(9時00分)終業(18時00分)休憩(1時間00分) ②始業(9時00分)終業(翌9時00分)休憩(8時間00分) |
X3さん (平成22年4月1日付) | ①始業(8時30分)終業(17時30分)休憩(1時間00分) ②始業(8時30分)終業(8時30分)休憩(8時間00分) |
本件タワーについて
本件タワーとは
本件タワーは、地上24階、地下2階のオフィスマンション商業施設の複合ビルであり、地下2階が駐車場、地下1階が防災センターと駐車場、1階は商業フロア、2階から13階まではオフィスフロア、14階から23階までは住宅フロア、24階がラウンジと共有スペースとされていました。
本件タワー地下1階の設備
本件タワーの地下1階には、Xさんらの勤務に関連する設備として、防災センター及び監理室が隣接して設置されており、Xさんら当直設備員は、基本的には管理室で勤務することとされ、防災センターにはD社の人員が勤務していました。
本件タワー地下2階の設備
また、本件タワーの地下2階には、Xさんらの勤務に関連する設備として、設備控室、ロッカー室、シャワー室が設置されていました。
設備控室には、2段ベッドのほか、内線電話、防災センターからの緊急呼出装置、インターフォンが設置されており、当直設備員らは、夜休憩および仮眠をとる際には設備控室を利用していました。
設備員の始業・終業時刻
Y社の就業規則23条では、設備員の始業・終業時刻について、以下の定めがありました。

Y社の変形労働時間制
また、Y社の就業規則25条には、変形労働時間制について、以下の定めがありました。

本件訴えの提起
Xさんらの勤務
Xさんらは、Y社との間の雇用契約に基づき、本件タワーにおいて、ビルの設備機器を運転操作し、点検・整備などの保守作業を行う設備員として勤務していました。
X1さん | 平成23年1月にY社入社 本件タワーにおいて勤務 | 平成31年1月7日以降はCセンター現業所において勤務 |
X2さん | 平成28年2月にY社入社 本件タワーにおいて勤務 | 令和2年5月24日付で退職 |
X3さん | 平成22年4月にY社入社 本件タワーにおいて勤務 | 令和2年4月30日付で退職 |
本件訴えの提起
もっとも、Xさんらは、本件タワーにおける勤務について、Y社から労働基準法所定の割増賃金を支払われていないと主張して、Y社に対して、労働基準法37条に基づく割増賃金などの支払いを求める訴えを提起しました。

XさんらとY社の主張
Xさんらが主張していたこと
本件訴えにおいて、Xさんらが主張していた内容は、大きくわけて3点です。
①≪労働時間について≫
・Xさんらは、始業前及び終業後に本件タワーの地下2階のロッカー室で私服から制服に着替え、また制服から私服に着替える必要があったことから、始業開始前後の着替え及び本件管理室との間の移動にかかる時間(各5分程度)は労働時間に含まれる。
②≪休憩・仮眠時間について≫
・Xさんら設備員は、実際には、昼休憩は防災センター内でとることされ、その後は外出が禁止されており、夜休憩と仮眠は設備控室でとることとされ、外出が禁止されていたほか、トラブルやクレームなどの事態が生じた場合には、設備員らが休憩・仮眠を中断して対応に当たる必要もあったことから、休憩及び仮眠時間中に労働からの解放を保障されておらず、Y社の指揮命令下に置かれていた(休憩・仮眠時間も労働時間に当たる)。
③≪変形労働時間制について≫
・Y社から事前に示される勤務表においては、日勤、宿直明番、宿直後日勤を不規則に組み合わせて作成しているが、Y社からXさんらに勤務表が示された時点で、週平均労働時間が40時間を超えている週が大半を占めており、Y社の主張する変形労働時間制は、労働基準法32条の2の要件を満たしていない(Xさんらに変形労働時間制は適用されない)。
※労働基準法32条の2とは、1か月以内の期間の変形労働時間制を定めており、これが認められるための要件の1つとして、就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間である週40時間を超えない定めをすることが求められている。※
Y社が反論していたこと
これに対して、Y社は、Xさんらに対しては、変形労働時間制を適用した上で、なお時間外労働が存した場合には割増賃金を支払っていたなどと主張して、Xさんらの主張はいずれも認められないと反論していました。
争われたこと(争点)
XさんらとY社のそれぞれの主張を踏まえて、本件においては、
・Xさんらが着替えに要した時間が労働時間にあたるかどうか(争点①)
・Xさんらの休憩・仮眠時間が労働時間にあたるかどうか(争点②)
・Y社の変形労働時間制(労基法32条の2)が適用されるかどうか(争点③)
が争われました。
一審判決の判断
争点①Xさんらが着替えに要した時間が労働時間にあたるかどうか
まず、《争点① Xさんらが着替えに要した時間が労働時間にあたるかどうか》について、一審の裁判所は、「Y社が、Xさんらに対し、始業前は背広及び革靴を着用し、始業前に制服に着替えることを義務付けられていたと認めることはできない」として、Xさんらが着替えに要した時間は、「Y社の指揮命令下の下でされていたものと認めることはできず、労働時間には当たらない」と判断しました。
争点②Xさんらの休憩・仮眠時間が労働時間にあたるかどうか
次に、《争点② Xさんらの休憩・仮眠時間が労働時間にあたるかどうか》について、一審の裁判所は、以下のとおり、昼休憩及び夜休憩の時間は労働時間に当たらないが、仮眠時間は労働時間に当たると判断しました。
昼休憩及びよる休憩の時間について
一審の裁判所は、Xさんらの昼休憩及び夜休憩の時間については、本件において、XさんらがY社の指揮命令の下で労働に従事していたと認めることができないことから、いずれも労働時間に当たらないと判断しました。
仮眠時間について
他方で、一審の裁判所は、Xさんらの仮眠時間については、従前の判例(三菱重工長崎造船所(一次訴訟・会社側上告)事件最高裁判決、大星ビル管理事件最高裁判決)を参照した上で、本件において、Xさんらの仮眠時間は労働時間に当たると判断しました。
≪判断枠組み≫
「労働基準法32条の労働時間(以下「労基法上の労働時間」という。」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観釣(ママ)に定まるものというべきである。そして、不活動仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって、不活動仮眠時間にあっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁、同平成14年2月28日第一小法廷判決参照。)
≪本件の検討≫
本件において、「Xさんらは、(…)仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、設備控室における待機とトラブル等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられていたと認めることができ」「トラブル等への対応状況からすれば、Xさんらの実作業への従事(…)の必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがされていないと認めることができるような事情もな」い。
したがって、「Xさんらは、本件タワーにおける仮眠時間中、不活動仮眠時間も含めてY社の指揮命令下に置かれているものであり、本件タワーでの仮眠時間は労働時間に当たるというべきである。」
争点③Y社の変形労働時間制(労基法32条の2)が適用されるかどうか
最後に、《争点③ Y社の変形労働時間制(労基法32条の2)が適用されるかどうか》について、一審の裁判所は、従前の判例(大星ビル管理事件最高裁判決)を参照した上で、本件において、Xさんらに変形労働時間制は適用されないと判断しました。
≪判断枠組み≫
「労働基準法32条の2の定める1箇月単位の変形労働時間制は、使用者が、就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間(単位期間)を平均し、一週間当たりの労働時間が週の法定労働時間を超えない定めをした場合においては、法定労働時間の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において一週の法定労働時間を、又は特定された日において一日の法定労働時間を超えて労働させることができるというものであり、この規定が適用されるためには、単位期間内の各週、各日の所定労働時間を就業規則において特定する必要があるものと解される。また、具体的勤務割である勤務シフトによって変形労働時間制を適用する要件が具備されていたというためには、作成される各書面の内容、作成時期や作成手続等に関する就業規則等の定めなどを明らかにした上で、就業規則等による各週、各日の所定労働時間の特定がされていると評価し得るか否かを判断する必要があると解される(前記最高裁平成14年2月28日第一小法廷判決参照)。」
≪本件の検討≫
本件において、Y社の勤務表と就業規則の定めとは一致しておらず、またY社の就業規則において、「勤務割に関して作成される書面の内容、作成時期や作成手続等について定めた規定は見当たらず、勤務表の作成によって、就業規則等による各週、各日の所定労働時間の特定がされていると評価することもできない」。
したがって、「Xさんらに対しては、変形労働時間制が適用されるということはできない。」
一審判決の結論
上記の検討を踏まえて、一審判決は、本件において、Xさんらに対して変形労働時間制が適用されないことから、労基法18条により、「所定労働時間は1日8時間に短縮され、1日8時間を超えてした労働は時間外労働となる」ところ、「無効となるのは1日8時間を超える所定労働時間の部分のみであり、月ごとの賃金額のこれに対応する部分は無効とはならないと解するのが相当である」として、Y社に対して、未払割増賃金の支払い等を命じました。
本判決の判断
これに対して、Y社が一審判決の判断を不服として控訴(Xさんらは附帯控訴)しました。
もっとも、本判決は、争点①から争点③について、一審判決を一部補正の上で引用し、Y社に未払割増賃金の支払義務がある旨の一審裁判所の判断を維持しました。
ポイント
事案のおさらい(どんな事案だったか)
本件は、Y社に雇用されて本件タワーでの設備管理業務に従事していたXさんらが、Y社は労働基準法所定の割増賃金を支払っていないと主張して、Y社に対して、労働基準法37条に基づく割増賃金などの支払いを求めた事案でした。
争われたこと(何が問題になったか)
Xさんらは、本件において、着替えに要した時間や休憩・仮眠時間が労働時間に当たること、Y社の変形労働時間制は適用されないことなどを主張して、Y社に対して、割増賃金等の支払いを求めていました。
これに対して、Y社は、Xさんらの主張をいずれも否定し、Y社はすでに変形労働時間制を適用した上で割増賃金を支払っているなどと反論していました。
そこで、本件では、Xさんらの労働時間(特に不活動仮眠時間の労働時間該当性)と変形労働時間制の適用の有無が主要な争点となりました。
本判決のポイント
実作業がなくても労働時間に当たることがあります
本判決は、従来の判例(大星ビル管理事件最高裁判決)の判断枠組みを参照しつつ、Y社における本件タワーにおけるXさんらの勤務について検討し、Xさんらは仮眠時間においても、労働からの解放が保障されておらず、Xさんらの仮眠時間は労働時間に該当すると判断しています。
このように、不活動仮眠時間については、実際に作業に従事しているかどうか、という観点ではなく、労働者が労働からの解放が保障されているかどうか、という観点に着目して判断されることに注意が必要です。
変形労働時間制は慎重な判断が必要です
また、本判決は、従来の判例(大星ビル管理事件最高裁判決)の判断枠組みを参照し、労働基準法32条の2の定める1か月単位の変形労働時間制が適用されるためには、単位期間内の各週、各日の所定労働時間を就業規則において特定する必要があるとした上で、Y社の就業規則や勤務割について検討し、Y社の就業規則において、「勤務割に関して作成される書面の内容、作成時期や作成手続等について定めた規定は見当たらず、勤務表の作成によって、就業規則等による各週、各日の所定労働時間の特定がされていると評価することもできない」として、Xさんらへの変形労働時間制の適用を否定しています。
最近では、変形労働時間制の適用が争われた日本マクドナルド(変形労働時間制)事件においても、「B社は就業規則において各勤務シフトにおける各日の始業時刻、終業時刻及び休憩時間について「原則として」4つの勤務シフトの組合せを規定しているが、かかる定めは就業規則で定めていない勤務シフトによる労働を認める余地を残すものであ」り、「現にAさんが勤務していたE店においては店舗独自の勤務シフトを使って勤務割が作成されている(…)ことに照らすと、B社が就業規則により各日、各週の労働時間を具体的に特定したものとはいえ」ないなどとして、変形労働時間制が無効であるとの判断が示されています。
変形労働時間制については、簡単に導入が可能と考えられていることが少なくありませんが、実は緻密な制度設計が必要な制度であることに留意しておく必要があります。
弁護士にもご相談ください
近年、不活動仮眠時間の労働時間該当性や変形労働時間制の有効性について争われることが増えています。
本件においても、会社側は割増賃金を支払済みであるなどと主張していましたが、結局のところ、割増賃金及び付加金の支払い義務を負うことになりました。
労働時間の管理や制度設計に課題があると、会社にとっては非常に大きな損失となります。
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紛争を未然に防ぐためにも、労務問題については、日頃から顧問弁護士に相談しておくことがおすすめです。