私的再建は、法的手続きによらずに債権者との合意により事業再建を目指す方法です。リスケジュールは主として債務の弁済期に関する交渉を指していますが、私的再建はそれによらず、利息の減額や利息を含めた返済猶予など様々な方法を意味します。

私的再建の方法

私的再建は、債権者との任意の合意によるため、返済の猶予等について債権者の納得を得る必要があります。その際、すべての債務を免除する等の合意は現実的ではなく、将来的には返済することを約束したうえでの、一時的な返済の猶予等について合意することになるため、リスケジュールの場合と同様、返済計画等の説明が必要となることが多いと思われます。

私的再建のメリット

私的再建の最大のメリットは信用の失墜を回避できる点です。法的手続きによれば、経営状態の危機を全債権者に知られることになり、取引先等の信用を失うことになりかねません。その結果、継続的な取引関係が断たれ、その後の事業再建が困難となることが考えられます。この点、私的再建は特定の債権者との合意により、その債権者との債権関係を調整するものであるため、当該債権者以外には会社の経営状態知られることなく進めることができます。

また、私的再建は債権者の合意のみが取れればよいため、迅速に進められる場合が多いと考えられます。法的手続きによると、法律上定められた手続きを履践しなければならないため、想定されている一定期間のスケジュールより短くなることはありません。

私的再建のデメリット

私的再建が債権者との合意による以上、そのデメリットとしては債権者の合意が得られなければ再建の道が断たれるという点です。また、複数の債権者がいる場合で、それぞれで合意をしなければならない状況において、そのうち１社でも私的再建に応じない債権者いれば、その時点で私的再建は不可能になってしまいます。

さらに、裁判所の関与なく進めることから、裁判所による保全処分等もないため、仮に債権者が交渉に反して実効的な手段に出た場合には、それに対抗する手段がないということもデメリットになり得ます。

おわりに

私的再建は一定のデメリットがある一方で、費用等の必要がなく、簡便な手続きで済むというメリットがあり、仮に功を奏しなくともその後に法的手続きを検討することで足りる場合が多くあることから、私的再建の余地がある場合にはまずは検討すべきといえます。もっとも、私的再建の方法やタイミングを誤ることで債権者による担保権の実行等を受け、さらに再建の可能性が乏しくなる事態にもなりかねませんので、私的再建を検討される際には弁護士等の専門家のアドバイスを受けながら進めるべきです。

私的再建を検討される際には、当事務所までご相談ください。