法律コラム

会社の破産

債務の返済に窮し、将来においても返済の目途が立たたないことから、事業の再建はもはや難しいとなった際には破産手続を検討することになります。早期に破産手続きを進めることで会社の残余財産により各債権者への分配や従業員への給与の支払いなどをすることができるため、適切な時期での破産手続きの選択が求められます。

破産手続きの流れ

破産手続きの申立て

会社の財産や、債権者などについての資料を集めて裁判所に破産手続きの申立てをするところから破産手続きが始まります。その際、集める資料は会社の決算資料や事業のために使っていた不動産の登記、自動車等の車検証、査定書など多岐に渡ります。

破産手続開始決定と破産管財人の選任

破産手続きの申立てを受けた裁判所は、費用の予納がないとき、又は不当な目的による申立てでないときを除き、破産手続開始決定をすることになります。また、開始の決定と同時に申立会社の財産を管理する破産管財人を選任します。

財産の処分と債権者集会

破産手続開始決定がされた後、裁判所から選任された破産管財人は、換価することができる会社財産を処分して配当の原資を作ります。その後、破産管財人は会社の財産について処分等を行ったことを債権者集会の場において適宜報告することになります。

配当

破産管財人が換価することができる会社の財産をすべて処分した後、それにより捻出された配当原資をもとに各債権者への配当が行われます。これで会社の財産がすべて失われるため、配当の完了により会社は閉鎖されることで、破産手続きが終結することになります。

破産手続きの特徴

破産手続きは会社の事業そのものを廃止して、会社の残余財産を債権者に配当する手続です。そのため、通常は、およそ私的再建の余地がなく、民事再生の手続によるとしても債務の返済が困難で事業の継続ができない場合に検討することになります。

また、破産手続きのもと会社の事業を廃止することになれば、当然ながらそれまで雇用していた従業員は解雇されます。会社に残余財産があれば破産を検討する段階でも従業員に適正な給与は支払うことができるため、従業員との関係では特に、会社には実質的な廃業の前段階で破産手続きを行う経営判断が求められます。

会社代表者への影響

通常、会社とその代表者は別個の人格があり、会社が破産するとしても代表者が責任を問われるわけではありません。しかし、実際には会社が経営資金を借り入れるにあたって代表者が保証人となっていることが少なくないため、会社が破産することで返済能力を失い、代表者が保証人としての責任を問われることになります。そうなると、会社の債務を代表者個人では負担することができないため、実際には法人の破産とともに保証人である代表者も同時に破産することが多くあります。

まとめ

破産手続きの目的は、会社の残余財産を分配することにあり、最終的には会社を廃業することになるため、特に重大な経営判断が求められます。当事務所では、私的再建や民事再生の手段によって会社の事業再建を図ることができるか、既に事業再建の余地はなく破産手続きを進めるべきかなどについても法的な観点からアドバイスすることができます。

破産等も視野に入れた債務整理でお困りの時は当事務所までご相談ください。